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文系大学生のズートピア考察

今更ながらズートピアを観た私立大学で英語学を専攻しているしがない大学生がズートピアについて感じたこと、考えたことをツラツラと書き記したいと思います。

※ネタバレを含んでいる可能性があります。

さすがディズニーというか、THEディズニーな子供向けのテーマとしては、夢と現実、挑戦、成功と失敗、友情。そんなことだと思うんです。そういう点から見ても充分に楽しめるストーリーではあります。ただ、子供っぽい作品だと感じる人もいるだろうし、ありがちな話だと思う人もいると思います。
いや、個人的にはそういう作品としても満足感のある作品だとは思います。ストーリーの展開も序破急とか、起承転結とかハラハラドキドキして見れて楽しかったです。


その子供向け作品から私が受け取ったメッセージとしてはやっぱり、人種差別、薬物、汚職事件というような社会問題を訴えかけるようなことです。
そのことに関して私がパッと思い浮かんだのは、今丁度履修している英米文学の講義のテーマである移民の話です。
様々な英米文学を通して、南北戦争前後のアメリカについての時代背景を学んでいます。当時のアメリカにはジャガイモ飢饉によって移住してきた多くのアイルランド移民がいました。
そのアイルランド移民たちはやはり人種差別で迫害され、不当な扱いを受けていました。
"移民"とまでは言わなくとも、田舎の農村育ちの主人公ジュディが都会へと繰り出す境遇はそれを彷彿とさせました。(個人的に)

主人公であるウサギのジュディは幼い日から警官になることを夢見ていました。しかし、彼女の両親は心配の気持ちあり、「ウサギの警官は過去にも1人もいない。」と夢を諦めさせようとしますが、その言葉が芯の強いジュディの気持ちをさらに駆り立て、ジュディは過酷な警察学校の訓練に耐え、首席で卒業、晴れて警察官になる夢を叶えます。
ズートピア市長であるライオンハートも彼女に期待を寄せ、同じ草食動物である羊の副市長ヴェルウェザーは自分は味方であると彼女を鼓舞します。
しかし、実際に勤務が始まってみると、体の小さな草食動物であるという理由からか、重大事件の担当はさせてもらえず、違法駐車の取締をやらされます。
その勤務中にキツネのニックと出会い、様々なことを経て、失踪したカワウソのエミットの捜索を2人で遂行していきます。詐欺師で頭が回り、人脈も広いニックと、世間知らずだけどその分怖いもの知らずなジュディ。この2人の対比も魅力的でした。
2人で協力していく内にお互いを自然と信頼しあい、ニックは自分がキツネであることから幼き日に受けた苦しい経験、そして夢を見ることを諦めたことをジュディに語ります。
「傷付くなよ。傷付いたら負けだぞ。」
という痺れるセリフ。ニックゥ。。。
そんなこんなで(どんな)2人はついに失踪事件の真相を突き止め、ジュディは一躍ズートピアのヒーローになる。はずでした。
完全にネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、事件を解決したジュディは記者会見でとある発言をしてしまいます。
その発言により、ズートピアの住人達の間に差別的な思考が広がってしまい、相棒のニックを傷つけることに。
事件を解決し、より良い世界をつくるという夢を叶えたはずなのに。と完全に自信をなくし、自分を責めるジュディは警察官を辞職し、田舎へと戻り、実家の農業を手伝います。
そこで幼き日にイジワルをされたキツネのガキ大将、ギデオン・グレイからとあることを耳にし、ズートピアで起きた失踪事件の真相の真相を知り、急いでズートピアへ向かい、ニックへ謝罪し、再び強力タッグで今度こそ本当に事件を解決します。

とまぁ、ザッとこんな感じのストーリーです。極力ネタバレを避けようと思った結果、はしょりすぎじゃね?という感じですが見逃してください。

やっぱり一番大きなテーマとしては人種差別なんだなぁ。と思いました。
ズートピアでは、誰でも何にでもなれる。」
しかし、やはりその根底にはどうしても越えられない人種の壁があり、偏見があります。
日本ではなかなか体感できることではないので、日本人向けとしてはただの子供向けアニメーションとしてプロモーションしたのかなぁ。公開日がGWにぶつけていることからもそう言えるかと。
わかりやすくアメリカ合衆国でいうと、自由の国と謳っているけれど、やはり"黒人だから"というだけの理由で虐げられる人がいます。
人種差別のイメージがあまりないように思えるイギリスでは、日本人が迫害されることもあります。
これらはただ単に不条理で理不尽なことだとは言いきれない歴史的背景があります。
ズートピアでもそう。動物たちが野生として本能の赴くままに暮らしていた時代には、肉食動物は草食動物を襲い、食していました。
動物みんなが仲良く平和に暮らしているとはいえ、あるきっかけでその本能やDNAのことに意識がいき、差別が始まります。
非常に現実味を帯びた設定を感じ取りました。
それと人種とはまた違った話になるけど、歌姫として大人気のガゼルに生えてる角がオスの物だっていう情報をTwitterて見かけて、LGBT的な要素も含まれているのかと感心しました。
"多様性"という言葉にも多様性がありますね。

もうひとつ、私が気付いた点としては、犬や猫などの定番のペット、牛や馬といった家畜動物の姿を見かけなかったことです。これにどんな意図があるのか真意はわかりませんが、野生で暮らしていなかった動物達が生き残れなかったという設定なのか、人間に近い存在である動物を登場させないことでなんらかの効果があるのか。。。

あとジュディが初日の勤務を終えて家でラジオを聴くシーン。ラジオから流れてくる音楽が暗いものばかりでジュディは次々とチャンネルを変えていくんですけど、ここで流れてる歌の歌詞が「Can't do nothin' right」とか「I'm a loser」とか、まぁその時のジュディの心の内を現したような歌詞なんですけど、英語でそのまま流れてるので、聞き取れない人とか多いんじゃないかなって。そんなに難しい英語ではないので多くの人は聞き取れるかと思うんですけど、子供はどうなのかな。って。ディズニーだとそういうところも日本語に翻訳して歌を流すようなイメージがあるんですが(違ったらすいません)、そこにも何か意図があるのかなぁ。



たった一回観ただけでここまで色々な考えを巡らせることのできるズートピアは本当に名作だと思うんですけどどうですか?
もし機会があれば何回も見てもっと細かいこととか気付きたいし今回出た疑問についてもわかることがあるかもしれないし。。。


結論:ズートピアはいいぞ。